33 カフェ豆ん茶家

集落内に心地いい空間

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桜島港から国道224号線を垂水方面へ約3km進むと赤水町だ。
港から歩くには少し遠いが、自転車であればあっという間に着く。
鹿児島市営バス、三州自動車バスも走り、周遊バス「サクラジマアイランドビュー」の停留所もある。
アクセスしやすい集落だ。

まち歩きにもぴったりだ。
入り組んだ路地。
溶岩石を緻密に並べて作られた石垣。
瓦屋根の家並みや、美しく整えられた畑。
海に向かって緩やかに下り坂が伸び、振り返れば桜島の大きな姿。
「桜島に人は住んでいない」と思っている県外の方は少なくない。
この集落を歩けば、きっと驚くことだろう。

カフェ豆ん茶家は、そんな集落の中にある。
車一台がやっと通れるような路地の先の自宅開放型カフェだ。
看板を頼りにお店に入ると、桜島グッズとコーヒーの香り。
そしてオーナーが笑顔で迎えてくれる。

自家焙煎のコーヒーはもちろんだが、お昼時にはランチもいただける。
この日の日替わりランチはメンチカツ、サラダ、豚骨と冬瓜の煮しめ、生春巻きなどなど盛りだくさん。
来るたびに内容が変わるので、何度訪れても飽きることがない。
お客さんや旬の食材にあわせて、毎日メニューを考えるのだという。

また、コーヒー焙煎体験もできる。
白い豆を丁寧に炒ると、音と香りを放ちながらみるみる見慣れた茶色いコーヒー豆になってゆく。
コーヒー自慢のお店ならではの体験だ。
この店が地域活性化につながればと話すオーナー。
今ではここを目的地に、集落へ立ち寄る観光客も少しずつ増えてきた。

時には定番ルートを外れ、麓のまちにお邪魔してみよう。
歩き疲れたらカフェで一服。
居心地がよく、ついつい長居してしまうけれど、それもよし。
アクセスの良いこの場所ならば、帰る手段はいくらでもある。
こんな桜島赤水町の旅はいかがだろう。

NPO法人桜島ミュージアム 大村瑛
『南日本新聞』 2013年9月10日
「桜島ルーキー日記(カフェ豆ん茶家)」 ※筆者本人により一部加筆修正

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