19 世界一の桜島大根

愛情受け個性いっぱい

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先日「世界一桜島大根コンテスト」が開催された。
全国から自慢の大根が桜島に集められ、その年の一番を競う。
世界一大きいとギネスに登録されているのは、2003年の31.1キロ。
更新こそならなかったが、形や大きさで評価される総合優勝に、18.34キロの端正な大根が輝いた。(2013年大会の記録)

遠方からの出品も目立った。
重量賞の25.08キロの大根は、神奈川県横須賀市のもの。
同郷の大根に、少し親近感がわく。
重量部門2位は滋賀県草津市、総合2位は宮崎県都農町からの出品であった。
都農町では、品評会を行う地域もあるのだとか。
「桜島」の名を冠した特産品は、故郷を離れ各地で栽培されているようだ。

種まきから収穫まで半年近くかかる大根栽培を、「子育て」に例える人も少なくない。
間引き、追肥、火山灰への対処など長く苦労の多い道のりだ。
育て方によってサイズや味に差が出るため、長年の経験、技術、カンを頼りに生産者は工夫を重ねる。
大根の声をよく聞いて、必要な栄養を、必要な時期に、必要な分だけ施す作業は、まさに子育てのようなのかもしれない。

今年は、収穫見学にうかがった。
直径にすると1メートルはあろうかという大根葉が畑一面に広がっている。
収穫、運搬、水洗い。
畑では、3つの作業が分担ですすんでいた。
寒空の下、水を溜めた大きなタライの中で、ひとつひとつ丁寧に手洗いされる大根。
土が落ち、白くきめ細やかな肌が顔を見せる。
「嫁入り前だからきれいにしてあげないと」と、作業に力が入る。

根がすらっと長く伸びたもの、丸々と横長に太ったもの、縦に長いもの。真白な肌のもの、うっすらと模様の入ったもの。
コンテスト会場に並ぶ大根に、ひとつとして同じものはない。
異なる土地で、異なる親の愛情を受けて育った桜島大根は、それぞれに個性を放っていた。

NPO法人桜島ミュージアム 大村瑛
『南日本新聞』 2013年2月5日「桜島ルーキー日記(世界一の桜島大根)」 ※筆者本人により一部加筆修正

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