08 桜島大根の街灯

何度も楽しめる憎い演出

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先日、南大隅町を車で走っていると、おもしろいものと遭遇した。
ドラゴンの街灯である。
町役場近くの国道沿いには、竜の装飾の施された街灯がずらっと並んでいた。
話を聞けば、町内で行われるドラゴンボートの大会をイメージしたものだとか。
これ目当てに訪れたわけではなかったが、思わぬ出合いに立ち止まり、シャッターを切った。
地域の特色のさりげないPR。
みつけたこちらもうれしくなってしまう。

桜島にも同じように、みつけるとニヤッとしてしまう街灯がある。
赤水展望広場などの観光スポットを走る市道224号線には、桜島と桜島大根をモチーフにした街灯が並んでいるのだ。
てっぺんの装飾はまさに桜島。
横長にどしっと構える姿や、標高によって異なる山の色合いが、単純だが忠実に再現されている。
明かりが灯る部分は、丸く太った桜島大根。青々とした葉も、もちろんある。
2キロ以上にわたり、このユニークな街灯が道路を見守っている。
初めて発見したときには、心の中で小さなガッツポーズをした。

こちらの街灯、一度のみならず、何度も楽しませてくれる。
途中で形が変わるからだ。
桜島港側から道を進むと、ある場所を境に山が噴火をはじめるのだ。
南岳から上がった噴煙は、南東方向へ流されていくようである。
さらに、桜島大根の葉っぱもいつのまにか姿を変えている。
山の噴火はわかりやすいが、大根葉の変化には数回と追っても気が付くことができなかった。
なんとも憎い演出ではないか。

このような、気づくかどうかギリギリのB級(失礼?)スポットを探し出したときの喜びは、なんとも言いがたい。
自分しかみつかられなかったのではというドキドキ感。誰かに言いたくなるウズウズ感。
ついこの場で紹介したくなってしまった。桜島では、街灯にも注目すべし。

NPO法人桜島ミュージアム 大村瑛
『南日本新聞』 2012年9月4日「桜島ルーキー日記(桜島大根の街灯)」 ※筆者本人により一部加筆修正

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